
泡盛って焼酎みたいですね。
いいお店だと気に入っていた、ある割烹の大将にこう言われたときは正直、ひっくり返りそうになりました。
というのもお店の雰囲気からして日本酒しかおいてなさそうなのに芋焼酎や麦焼酎があるし、1種類だけですが泡盛をおいていることが気に入ってる理由だったからです。
こだわって泡盛をおいていると思っていたのに一体誰がお酒を選んでいるんでしょうね。がっかりでした。。
この大将を庇うわけではありませんが、泡盛と焼酎はどう違うの?と聞かれることは確かに多いです。こういった疑問に答えます。
目次【本記事の内容】
泡盛と焼酎は何が違うの?
違うといえば違うし同じと言えば同じです。こういうと余計にわからなくなるかもしれませんね。
そもそも酒税法では、焼酎を次のように定義しています。
アルコール含有物を蒸留した酒類のうち、
- A 連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分36度未満
- B 単式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分45度以下のもので、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジンなどに該当しないものをいいます。
また、A に該当するものを連続式蒸留焼酎、B に該当するものを単式蒸留焼酎に区分しています。
連続式蒸留焼酎の代表的なものはホワイトリカーで、単式蒸留焼酎には泡盛の他に芋焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎などがあります。
参考|国税庁ホームページ
もうわかりますよね?
広い意味で泡盛は焼酎で間違いありません。単式蒸留焼酎という種類のお酒になります。さらに泡盛の原料は米なので、広い概念では米焼酎といえます。
泡盛と米焼酎は同じお酒なのかというと、泡盛と一般的な米焼酎にはこんな違いがあります。
泡盛 | 一般的な米焼酎 | |
麴菌 | 黒麹菌 | 主に白麴菌 |
原料 | 主にタイ米 | 主にジャポニカ米 |
仕込み | 全麹仕込み | 多くは二次仕込み |
全麹仕込み|原料を全て麹にして一度の仕込みだけで蒸留する
二次仕込み|米麹を原料として発酵させた一次もろみに、米を加えて二次もろみを造ってから蒸留する
ちなみに泡盛はタイ米(インディカ米)で造らないといけないと広く誤解されていますが、米ならタイ米じゃなくてもOK。例えば、島うらら(八重泉酒造)は石垣島産のひとめぼれで造られています。
✔泡盛を名乗るための4つのルールです
- ①米を原料とすること
- ②黒麹菌を使う
- ③全麹仕込み
- ④単式蒸留機で蒸留する
原材料選定
泡盛マイスターの実技試験には原材料選定という科目があります。これは泡盛、焼酎(麦・芋・米・黒糖・蕎麦)、日本酒の7種類を判別するというもので所謂、原材料を当てるきき酒です。

原料が違うので度数当てよりは簡単そうですが(度数当ても試験科目にあります)、やってみると泡盛と米焼酎の仕分けが鬼門なんです。
泡盛マイスターが泡盛を間違えちゃいかんでしょ!と誰もが思うように、ここを間違えると致命傷になりかねない試験科目なのです。
だからこそ、出題される泡盛と米焼酎は減圧蒸留で造られた原料由来の味わいが強すぎない似通ったものがわざと選ばれます(苦笑)
僕が受験した年はこの2つが出題されました。
- 泡盛|琉球美人25度・ヘリオス酒造
- 米焼酎|白岳しろ25度・高橋酒造
前述のように泡盛と米焼酎の違いは色々あるのに、飲むとどっちがどっちか自信がなくなります(苦笑)
そんなわけないやろ?と思った方はぜひチャレンジしてみてください!(^^)
泡盛の名前の由来は?
泡盛マイスターのテキストの中で泡盛が「RICE LIQUOR OF OKINAWA」と表現されていました。
言い得て妙だなと感心した記憶がありますが、そもそも疑問だったこと。
泡がないのに泡盛とは、これいかに。
泡盛の名前の由来について見てみましょう!そもそも泡盛という名前の由来には次の4つの説があります。
- ①泡説
- ②原料説(粟説)
- ③梵語説
- ④薩摩説
①泡説
①の泡説にはさらに2つの説があります。
- 強い酒を注ぐと泡立つことから泡盛という名前になったという説
- 蒸留する時に泡が盛り上がったからという説
昔は40~50cmぐらいの高さから椀に注いで、その泡立ち具合からアルコール度数の強弱を計っていました。泡盛はアルコール度数が高いほど蒸留するときの泡立ちはいいようです。
泡盛のテイスティング勉強会で何十回と泡盛の粘性(泡立ち)を確認してきましたが、度数の高さと泡立ちのよさはあまり関係がないように思います。
②原料説(粟説)
②の原料説は「粟で酒を造っていたから泡盛(粟盛)という名前になった」という説です。
昔の文献によると、琉球国の時代は泡盛の原料として米と粟が支給されていたようです。
現在泡盛の原料といえばほとんどがタイ米ですが、タイ米を使うことが定着したのは昭和初期と言われています。
また戦後の沖縄では米を原料とする酒は少なくサトウキビ、砂糖、果物、メリケン粉、チョコレート等、発酵するものであればなんでもありで原料にしていた時代もあったようです。参考「仲村征幸さんに聞く(焼酎楽園vol.36)」
③梵語説
③梵語(サンスクリット語)説は古代インドの文語である梵語では、酒のことをアワムリというのでアワムリから転じてアワモリになったという説です。
④薩摩説
薩摩藩が九州の焼酎と区別するために泡盛と命名したとするのが薩摩説です。
結論
現時点では①泡説が有力視されていますが、実のところはっきりしていないようです。
ところで、この泡盛のラベルは商品名がシンプルに「泡盛」になっています。

日本酒とかワインとかしか書いていないお酒が売っていたらと想像するとちょっと違和感がありますよね。でもお土産用ならわかりやすくていいのかなと思います。
シンプルに泡盛という商品名にした理由がとても気になる今日この頃です(^^♪