知っておくと泡盛がもっと楽しめる重要泡盛ワード

泡盛が気になっていろいろ飲み始めるといやがおうにも耳にするのが「三日麹」や「減圧蒸留」などの泡盛ワード。

 

薀蓄好きには抵抗なくというかむしろ好んでインプットされるのでしょうがそうじゃない方には面倒くさいですよね、正直なところ(笑)。僕は泡盛のマニアックな面を特に伝えたいわけではありませんが、こういった泡盛ワードを理解しておくと泡盛を飲む時にもっと楽しめるのは間違いないので嫌いでなければいや少々我慢してでもお付き合いいただければと思います(^^)

 

とはいえ用語の解説だけではピンとこないと思うんですよね。そこで泡盛ワードに沿った泡盛を具体的に取り上げながら泡盛ワードの内容を紐解いていきます。僕自身が泡盛マイスターの実技試験の勉強をしていた当時に課題泡盛を使い、勉強のために泡盛の重要ワードを簡単にまとめたブログ記事がもとになっているので本当に基本的なことばかりです。もっと深く知りたい方は別記事として整理しているものもあるのでそちらもご覧ください。


その1 古酒って古くなった酒?

「こしゅ」もしくは「くぅーす」と言います(読みます)。古酒を名乗れる泡盛は全量が3年以上貯蔵したもので文字通り古い酒ということになりますが泡盛は熟成させるほどに香りもよくなり口あたりもまろやかになって美味しくなるという特徴があります。

 

平成27年8月1日から古酒表示基準が変更されて「全量」になったのですが、それ以前は3年以上熟成させた泡盛が商品の全量の50%を超えていればよかったので基準が厳しくなりました。

 

泡盛には新しい酒を少し注ぎ足すことで泡盛が活性化して美味しくなるという特徴を活かした『仕次ぎ』という独特の文化があるので、この基準変更によって「全量」という縛りができると『仕次ぎ』の文化が廃れてしまうのでは?といった声もあります。仕次ぎの話はまたの機会にするとして物産展やイベントで酒造所の方とこの話題になると「この銘柄は8月から古酒の表示を外しました」といった話をよく聞くようになりました。

 

全量を3年以上熟成させたのものに変更すれば同じ銘柄で古酒と表示できるわけですがあえてそうしないものもある。なぜかというと味が変わるからです。古酒と一般酒の絶妙なブレンドによって生まれた味わいなので全量を3年以上にすると当然味が変わってしまうし、価格は間違いなく上るでしょう。

 

「商品の味を優先すればブレンド比率を変えれない、ゆえに古酒と表示できない。でもラベルから古酒の文字がなくなってしまうことで以前から飲んでいただいているお客様に味わいや商品自体はなんら変わっていないことをご理解いただくことが大変です」とある酒造所の方が仰っていました。

 

古酒表示基準が変わったから古酒の表示がなくなったなんて察しの良い人は少ないでしょうから、古酒の文字がなくなれば味が変わったと思う人の方が多いはず。味わいそのものではなく古酒というだけで、もっと言うと古酒と書いてあればそれだけでありがたがるような風潮があるのは感じるところですが、そういった古酒を取り巻く状況も変えていかないといけないということでしょうね。

 

さて古酒は度数が高いものというイメージがあるかもしれませんが今回選んだ泡盛はアルコール度数は低めの「南風 3年貯蔵古酒(古酒・25度)」・沖縄県酒造協同組合と「くらクース(古酒・30度)」・ヘリオス酒造です。南風はアルコール度数が25度以下なのでマイルド泡盛になります。※これは2011年当時のラベルなので表示や内容に変更があるかもしれません。

古酒は一般酒と比べるといいお値段なので水割りで飲むのはもったいないような気もしますが、どちらも手頃な古酒なので水割りで気軽に楽しむことができます。

 

またくらクースは樽で熟成させた泡盛なのでほんのり琥珀色がついています。泡盛の樽熟成といえば神村酒造さんが元祖なのですがヘリオス酒造さんの樽熟成の技術も負けてはいません。

 

こちらは瓶の状態で5年熟成されていたので8年物の古酒に育っています。滑らかな口当たりで何杯でも飲めそうです。古酒の魅力や奥深さについてはこのスペースでは書ききれないので別の記事でも紹介しています。


その2 泡盛って意外とマイルドだろ~

泡盛のイメージってやっぱり強い酒、きつい酒でしょうか?

 

泡盛はアルコール度数30度のものが多く、中には44度のものまであります。こう書くとワイルドなお酒って感じがしますが・・・。どっこいそんな泡盛にもマイルド感を打ち出したものもあります。ラベルにマイルドと表示した泡盛でこれができるのはアルコール度数が25度以下じゃないといけないんですね。

宮里酒造所さんの「春雨マイルド」もそんなマイルド泡盛。酒造所の方にお話を伺った時に「春雨マイルド」は食中酒として中でも刺身やお寿司と一緒に楽しむことを想定して開発された泡盛だと教えていただきました。 

春雨マイルドよりも度数が低いのがこちらの「龍(20度)」・金武酒造と「NAVI(古酒20度)」・恩納酒造所。龍は一般酒ですが詰め日から3年経っているのでいわゆる瓶熟成の古酒になります。

どういうわけかどちらのラベルにもマイルド表示がなくて説得力がありませんね(汗)。ちなみにマイルド泡盛の中には12~15度といったワイン、日本酒と変わらない度数のものもあります。強い酒、きつい酒とイメージだけで敬遠せずに勇気を出して泡盛を楽しんでみてください、きっと飲みやすいですよ~。


その3 60度の泡盛って!?

与那国島で造られている花酒。この花酒の存在こそが泡盛が強い酒と思われる最大の理由なんじゃないかなと思っています。

 

というのも花酒はアルコール度数が60度だからです。勘違いしている方が本当に多いのですが実は花酒は泡盛ではありません。造り方からいえば泡盛なのですが、60度ということで泡盛のアルコール度数の最高限度である45度を超えてしまうため法律上泡盛を名乗ることはできないからです。法律上はスピリッツに分類されます。

 

ちなみに市販されている泡盛は44度ではなく43度が多いのは何かのはずみで45度を超えることがないように安全面から43度にしていると聞いたことがあります。

 

泡盛と花酒の造り方が違うのかと問われれば限りなく同じです。というよりも初留(蒸留後、最初に出てくる度数の高いお酒)を商品にしたものが花酒で度数を調整して45度以下にしたものが泡盛というように商品のバリエーションの違いと考えてもらうとわかりやすいと思います。

 

与那国島には3つの泡盛メーカーがありますがこちらは入波平酒造さんの「舞富名60度」は花酒(スピリッツ)になります。

こちらは同じ入波平酒造さんの舞富名ですが30度なので泡盛になります。30度の舞富名のラベルは与那国島で発見された世界最大の蛾「ヨナグニサン」が使われていて愛嬌?がありますが60度の方はクバ巻きの瓶でいかついイメージ。

 

さらにラベルもシンプルで花酒はアルコール度数が高ければラベルなんてどうでもいいのさ的な「質実剛健」といった雰囲気が漂っています。30度の泡盛も決してアルコール度数が低いとはいえませんが花酒と比べると半分ですからね~。

これは65度の舞富名で復帰40周年記念の商品です。これを買ったときは65度が花酒の最高度数だと思ってましたが与那国島には71度の花酒も存在するみたいです。最近泡友さんのfacebookの投稿で知りましたが超初留なんでしょうね、びっくりです!

泡盛は水割りや泡盛カクテルなどで飲みやすくして楽しむことをオススメしていますが花酒に関しては真逆です。花酒特有の高い度数を楽しんでいただきたいので、パーシャルショットにした花酒をストレートで、オリオンビールをチェイサーにちびちびと飲んでいただきたいですね(^^)


その4 ブラック、ホワイト、ブラウンって何の色?

泡盛を飲んでいるとよく目にするのがブラック、ホワイト、ブラウンなどの色のこと。泡盛造りは必ず黒麹菌を使わなければいけないのでブラックもホワイトも、もちろんブラウンも麹菌の種類とは無関係です。

 

それじゃあブラウンは何の色なのか?それとも色とは関係ないのか?

 

こちらの泡盛をご覧ください!菊之露酒造さんの「菊之露ブラウン」と多良川さんの「多良川ブラウン」です。

ボトルの色が茶色ですよね(この画像ではわかりにくいかもしれませんが)。このボトルは久米仙酒造さんのグリーンボトルに対抗して菊之露酒造・久米島の久米仙・多良川さんが共同開発した卓上ボトルでブラウンボトルと呼ばれています。ボトルに刻まれたこの「菊久多」の文字は3つのメーカーの頭文字でしょうね。

ブラウンの由来についてピンときましたか?「菊之露ブラウン」「多良川ブラウン」といったブラウンの由来はボトルの色からきてそうですね。

 

ちなみに他に違いはないのかと泡盛大試飲会の時に各メーカーさんに疑問をぶつけてみたところ・・・

  • 普通の三合瓶に入っていれば「菊之露」で、このブラウンボトルに入っていれば「菊之露ブラウン」と中身の泡盛自体に違いはないみたい。
  • 久米島の久米仙さんはブラウンには古酒をブレンドしているようです。
  • 多良川さんのブースもあったのに聞きそびれたのは僕の詰めの甘さです(汗)。

※2011年に開催された試飲会で伺った情報ですので現在は違っているかもしれませんのであしからず

 

他にもイエロー、レッド、ブルーなどなど色を使ったネーミングの泡盛がありますがボトルの色からきているものとそうじゃないものもあります。ゴールド龍の由来はこちら(泡盛初め 一年の計はこの泡盛にあり)でご紹介していますので気になる方はどうぞ。


その5 三日麹は手間と暇がかかってます!

泡盛を造る工程の中で麹造り(製麹)は蒸し上がった米に黒麹菌(種麹)をふりかけて黒麹菌を繁殖させて米麹を造ります。麹造りにかける時間は40時間ぐらいというのが多いのですがさらに時間をかけて造った麹を三日麹(老麹)といいます。 

  • まだ胞子が出ない白いうちに麹造りを終えた場合(若麹)は、爽快で華やかな香りの泡盛になります。
  • 胞子が出て黒くなってから麹造りを終えた場合(老麹)は、重厚で複雑な香りの泡盛になります。 

というように麹造りにかける時間も泡盛の香味の個性をつくるのに影響を与えているわけです。三日麹で造られた泡盛といえば「松藤」・崎山酒造廠や「瑞泉三日麹(25度)」・瑞泉酒造があります。どちらも一般酒で「瑞泉三日麹(25度)」は沖縄県内での限定販売になります。

最近では約96時間かけて麹を造った「忠孝よっかこうじ(43度)」・忠孝酒造という泡盛もあります。43度という度数を感じさせず、なめらかな甘みのある味わいでよっかこうじは度数当ての練習には持ってこいの泡盛だったりします。四日麹は三日麹の上を行く常識破りの泡盛なんです。


その6 麹と酵母はどう違うの?

よくお酒を飲まれる方でも勘違いされている方が多いのが麹と酵母の違いです。

 

泡盛造りを例にものすごく簡単に言うと黒麹菌はでんぷんを糖に変える役割(糖化)を担っています。一方で酵母は代謝によって糖分からアルコールと炭酸ガスを作っています。

 

そしてアルコールと炭酸ガスだけでなく、いろいろな香味成分も一緒に作られているので酵母によっても泡盛の味わいに個性が生まれるわけです。泡盛の酵母といえば咲元酒造さんで初対面を果たした「泡盛101号酵母」がメジャーですが最近は各酒造所で新しい酵母を使った泡盛を開発しています。

例えば瑞穂酒造さんからは天然吟香酵母「NY2-1」を使った「ender(エンダー)」が、忠孝酒造さんからはオリジナルの「忠孝酵母」が使われた「豊吉」が販売されています。どちらもはじめて飲む方にも飲みやすい泡盛ということを意識し開発された商品のようです。

 

またどちらも酵母にとどまらずに個性的な泡盛と言っていいんじゃないでしょうか。「ender」はこの通りボトルの形が洗練されています。

「豊吉」はなんと!キャップにくじが付いています。こんな泡盛は初めてです。くじの種類には「小吉」「大吉」「豊吉」があるみたいですが僕が引いたのは・・・

「小吉」でした。引き弱~

と、飲んで楽しむだけじゃない遊び心のある泡盛です。ぜひ飲み比べて酵母の違いによる泡盛の香味の個性を楽しんでみてください。


その7 “減圧”蒸留ってどういう方法?

泡盛をはじめ蒸留酒は水より低温で沸騰するアルコールの性質をうまく利用してもろみからアルコールを取り出しますが、蒸留の方式は大きく二つあります。

 

ひとつは単式蒸留機を使う蒸留方式で原料(もろみ)を一度だけ蒸留します。もう一つは連続式蒸留機を使う方式で、こちらは原料を何度も蒸留するのでより純度が高いアルコールを造ることができます。何度も蒸留するとアルコール臭の他は無味無臭となり原料の特徴が失われてしまうので、泡盛を名乗るには単式蒸留機で蒸留(1回のみ)するという決まりになっています。

 

そんなわけで泡盛の場合は必ず単式蒸留機で蒸留しますが単式蒸留機といっても、これまた常圧蒸留と減圧蒸留の二つのタイプがあります。

 

減圧蒸留というのは蒸留釜内部の圧力を大気圧の10分の1程度の減圧状態にすることによって40~50度の低い温度でもろみを蒸留することができる方法です。低温で蒸留することができるのでもろみを加熱することで発生する焦げた臭いや刺激のある臭いがつきにくく、クセがなくてフルーティな泡盛になります。

 

ということは言い換えれば、減圧蒸留は常圧蒸留に比べて原料の特性があまり出ないといえるので泡盛の蒸留方法は常圧蒸留が主流でまだまだ減圧蒸留の泡盛は少数派です。

 

ちなみに泡盛をほとんど飲んだことがないという方でも飲んでいる可能性が高い泡盛といえば比嘉酒造さんの「残波」じゃないかなと思いますが、残波は減圧蒸留でその特徴がよく表れている泡盛だと思います。


その8 昔ながらの“直釜”式蒸留

泡盛の蒸留方法には常圧蒸留と減圧蒸留があるとご紹介しましたが常圧蒸留は加熱の仕方でさらに分けることが出来ます。

 

まずはもろみが入った釜を直火で加熱する直釜式蒸留。他には水蒸気で加熱する方法でもろみの中に入れたコイル等に蒸気を送り間接的にもろみを熱する間接加熱方式と蒸気を直接もろみに吹き込む直接加熱方式があります。

 

この中で直釜式蒸留は常にもろみを攪拌しながら蒸留しなければならず手間暇がかかるため現在の主流は水蒸気による加熱ですが、直釜式蒸留は昔ながらの風味豊かな泡盛を造ることができる蒸留方法になります。直釜式蒸留で造られた泡盛には「八重泉」・八重泉酒造、「於茂登(おもと)」・高嶺酒造所をはじめ石垣島の銘柄があります。

中でも代表的なものと僕が思うのは請福酒造さんの「直火泡盛 請福」。なんせ銘柄にまで直火と直釜式蒸留であることを記していますからね。工場を見学したときには赤々と燃える直火をしっかりカメラにおさめてきました(^^)v

今では直釜式蒸留機を使っているのは石垣島、波照間島、与那国島、宮古島の酒造所だけで沖縄本島の酒造所では使われていません・・・と書きそうになりましたが忘れてはいけないところがありました。

 

毎年泡盛造りを体験している忠孝酒造さんの手造り泡盛工場の蒸留機も直釜式でした。蒸留方法の違う泡盛を飲み比べてみるのもオススメですし、蒸留方法が同じ泡盛を選んで飲み比べても銘柄毎に味わいが違うので面白いですよ(^^)


その9 どっちの久米仙!?

泡盛を考える上で久米仙という名前はややこしい存在だと思っているのは僕だけでしょうか?

 

というのも久米島にある久米島の久米仙さんの主要銘柄は「久米島の久米仙」なんですけど、久米島にある会社なんだからあえて「久米島の」っている?と思うからで画像は「久米仙ブラック 7年古酒」です。

そう考えるとこの「久米仙ブラック 古酒」を造っている久米仙酒造さんが久米島じゃなくて那覇にあるのもなんだかややこしい。

駄目押しは久米島にある米島酒造さんなんですが主要銘柄は「久米島」なので久米島酒造じゃダメだったんでしょうか?酒造所の名前に「久」がないのはなんだか狙ってややこしくしているような気さえします。いやむしろ・・・

ややこしくしているのは僕なのかも(爆)

いまではなんの違和感も感じませんし間違えることもありませんが、泡盛マイスターの試験勉強をしていた当時は混同するのは日常茶飯事でした。ちなみに久米久米(久米島の久米仙)、那覇久米(久米仙酒造)と言う方も泡盛業界にはいるみたいです。

 

この3つの酒造所の泡盛を飲むときは久米仙を肴にするとより美味しく飲むことができると思いますよ(^^)


その10 首里三箇とはなんぞや?

琉球王府は17世紀末より泡盛の製造は現在の酒造免許に該当すると思われる「焼酎40職」を選び、王府のお膝元である首里の「赤田」「崎山」「鳥堀」の3つの村、両先島(八重山・宮古)および久米島に公認された指定酒造屋に認められました。

 

首里三箇(しゅりさんか)というのは泡盛造りを許されていた酒造所が多く集まっていた首里の「赤田」「崎山」「鳥堀」の3つの地区のことです。ちなみに識名酒造さんが首里赤田町、瑞泉酒造さんが首里崎山町、咲元酒造さんが首里鳥堀町にあり、首里に酒造所が集中したのには地下水が豊富だったことと、当時は泡盛が重要な献上品だったために琉球王府が監督しやすかったことが主な理由のようです。 

資料:泡盛マイスター教本⑤泡盛・沖縄(琉球)の歴史 

 

そんな首里三箇の泡盛の中から識名酒造さんの「時雨」と咲元酒造さんの「咲元」です。

以前はなかったような気がしますがこの時雨にはこんなシールが貼られていました。泡盛造りの酵母といえば「泡盛101号酵母」がメジャーですがこの時雨は黒糖から分離された酵母(5-15)が使われています。

ちなみに「泡盛101号酵母」というのは新里酒造の新里修一氏が従来の「泡盛1号酵母」の中から60億分の1の割合で存在する「泡なし酵母」の分離に成功し、これを実用化したものです。

 

従来の酵母の場合、酵母が活動すればするほど泡が立ち容器からあふれたりするため、つきっきりで泡をかき混ぜたり仕込みの量を減らしたりと泡の管理に大変苦労していました。

 

それが泡なし酵母(泡盛101号酵母)を使用することで泡の管理が容易になって仕込みの量が増え、アルコールの生成が速いため雑菌汚染の割合も低くなってアルコールの取得量も増えるという、まさに泡盛製造に革命をもたらしたといっても過言ではない酵母なのです。


その11 太郎とまさひろ

太郎とまさひろ。どちらも泡盛の銘柄でしかも2つの銘柄の由来は同じ・・・

 

2つの泡盛のネーミングは酒造所の社長のお名前に由来しています。「ニコニコ太郎」は池間酒造二代目の池間太郎氏のお名前からネーミングされています。「まさひろ」は比嘉酒造(現まさひろ酒造)三代目の比嘉昌廣(しょうこう)氏のお名前を読み変えてネーミングされています。

この「まさひろ県産米仕込み」は蔵元限定なので酒造所でしか買えないと思い込んでいましたがネットでも買えるようです。蔵元限定という響きに飛びついてリュックがパンパンになるまで泡盛を買って那覇空港を飛び立ったあの日はなんだったのだろう・・・(笑)。

 

さあ気を取り直して。注目すべきは沖縄県産米仕込みという点です!

泡盛の原料はタイから輸入しているタイ米(インディカ種)がほとんどですが、このまさひろは沖縄県で造られているお米で造られています。

 

まさひろ酒造さんのHPによると「沖縄のお米で泡盛を造ったらどんな味になるのか?」という職人さんの探究心から生まれた泡盛のようですがこれがすごく飲みやすい!度数は30度なのですが25度ぐらいに感じます(度数が正確に判るほど僕の舌は高性能ではありません。にしても30度よりは軽く感じるというニュアンスです)。

 

原料の違いもあるでしょう。さらにこの県産米仕込みはまさひろシリーズ初めての減圧蒸留なのでその辺りも影響しているんだろうと思います。興味のある方は一度お試しください!繰り返しになりますがネット通販で購入できますので沖縄から泡盛の運び屋をする必要はありません(爆)。


その12 シー汁ってどんな汁?

こちらは忠孝酒造さんの「夢航海」。2012年に味もラベルも一新した夢航海ですが昔ながらのシー汁浸漬法で造られていることが最大の特徴でしょうか。

 

「シー汁」といえば僕が受けた年の泡盛マイスター筆記試験でも「シー汁とはなんぞや」という問題が出ました。シー汁というのは前回洗米した時の米のとぎ汁という程度の理解で止まっていましたが、試験の講評に「シー汁はただの米汁のとぎ汁ではないのでしっかりと理解するように」と書いてあったので夢航海を飲むにあたり、忠孝酒造さんから定期的に届く「あわもり忠孝だより」をひっぱり出してみると、シー汁は「ただの米汁のとぎ汁なんかではない」ことに気が付いたという次第です。

シー汁浸漬は15~24時間という長時間、米を水に漬けておくため乳酸菌といった微生物が増えることで水がすっぱくなります(通常の浸漬は長くても1時間程度です)。ただ単にすっぱくなっているわけではなく、浸漬中に乳酸菌などの微生物がお米の表面を削ることで甘みのあるやわらかな酒質の泡盛ができるそうです。日本酒でいうところのお米を磨く工程を微生物がおこなっているといえるのかもしれません。

 

このメカニズムを科学的に実証したことで「日本醸造協会技術賞」を受賞されていることはもちろん素晴らしいのですが、経験的にシー汁浸漬法の効果を知っていた昔の杜氏も素晴らしいですよね。

 

理解が進むほどに泡盛も進むのですごくいい気分です。すいすい飲みやすい飲み口からして減圧蒸留かな?と思いましたがどうやら常圧蒸留のようです。この辺をすぱっと見極められないようでは泡盛マイスターとしてまだまだですね(苦笑)。

 

さて夢航海という名は「泡盛を飲みながら、夢を大いに語ってほしい」という願いをこめて命名されているようなので、美味しいからといえ飲み過ぎて午前4時のマーライオンとか、くれぐれも「夢後悔」にならないように気を付けたいと思います。

文:泡盛マイスター伊藤 薫


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