古酒の香り トーフナビーかざって?

「松山御殿物語」でも紹介されていますが琉球最後の国王、尚泰の四男である尚順男爵は「鷺泉随筆」の古酒の香り就ての中で標準的な古酒の香りは3つしかないと書いています。 

 

1つ目は「白梅香かざ」で鬢付油の匂い  

2つ目は「トーフナビーかざ」で熟れた頬付の匂い  

3つ目は「ウーヒージャーかざ」で雄山羊の匂い   

 

熟れた頬付の香りがなんとなくしかイメージできなかったので、スーパーで奈良県産の食用ほおずき(キャンディ・ランタン)を見つけたときに熟れた頬付の匂いというものをじっくりと体験してみようと思い立ちました。

黄色く熟した時が食べ頃と書いてあるので、まだ緑が強いこの色じゃまだ熟していないみたいですね。

パッケージにある「完熟品はまるでマンゴー」というコピーに本当かよと思いながらも袋の中に鼻を突っ込んでみると、ほんのり甘い香りが漂っています。熟したらさぞいい香りがするんでしょうね。トーフナビーかざに期待大です(^^♪


かれこれ1ヶ月が経ちました

もう十分に完熟しただろうとほおずきを食べてみました。カラカラになった皮を剥くときにほおずきの実を触るとべた付きます。根拠はないけど、こういった変化を感じるとかなり期待してしまいますね。

実から甘い香りが漂ってきて完熟するとマンゴーみたいと評されるのも納得です。さてさて熟れたほおずきを食べてみましょうか!

 

皮ごとリンゴを食べたような食感。リンゴでもミニサイズの青リンゴで、シャリシャリ感が少ないリンゴの雰囲気です。食用ほおずきはストロベリートマトともいったりするようですが種が多いって感じはなく、いちごもトマトもちょっとイメージしにくいですね。


泡盛が入ってないならしょうがないよね・・・

古酒の香りのひとつであるトーフナビーかざ(熟れたほおずきの香り)というのは、完熟したマンゴーの様な甘い香りだと知り、マンゴーの香りをもっと楽しみたくなったので今宵はこれで泡盛を割ってみます。

これはセゾンファクトリーのマンゴードリンク(マンゴー果汁60パーセント)なんです。ほとんど知られていないと思いますがセゾンファクトリーは山形県の会社なんですよね。隠しているとは言わないまでも、できるだけ出さないようにしてるんじゃないかと山形県人会の集まりでは話題になります(笑)。

原材料を見ると既に洋酒が入っているらしい。洋酒って何かわかりませんが泡盛の古酒の香りを熟れたほおずきの香り(マンゴーの様な甘い香り)と例えることもあるのでできれば泡盛を使って欲しいなぁと思いました。

 

まあ入ってないならやっぱり自分で泡盛を入れるしかないなぁ(笑)と43度の古酒をちょっとプラスしてみました。

意外や意外、マンゴージュースの濃厚さと43度の泡盛のパンチ力がコラボすると、とっても飲みやすくなりました。飲みすぎてしまいそうな危険な香りがする飲みやすさなので、おちょこで1杯ぐらいにしておいた方が良さそうです(^^♪


トーフナビーかざの別の顔

岩手土産に食用ほおずきをもらったのでトーフナビーかざ(熟れたほおずきの香り)をチェックしてみました。奈良県産の食用ほおずきとは大きさもだいぶ違ってて岩手県産の方が1.5倍ぐらい大きいです。

 

肝心の香りはだいぶ印象が違ってます。奈良県産のはマンゴーの様な甘い香りでしたが今回の岩手県産のは・・・

 

まるで、ココナッツ!?

 

もっと言うとサンオイルのコパトーンの匂いなんですよ、これってかなり的を得ていると我ながら思います。古酒の香りの中にナッツ様の香りがあるので特別違和感を感じるような香りでもありません。他には橙というかオレンジの様な酸っぱさを連想させるような香りも。

 

香りを味わった次は、いざ試食!

上は輪切りにしたもので下は縦に切ったもの。見た目からも想像できると思いますが、だいぶ種を感じます。

 

少し皮の部分が青臭いような、まだ青いいちじくのような味わいと酸味も感じますね。味の方も奈良県産のものとは全然印象が違います。

 

実は奈良県産のほおずきが残っていたので(買ってから1月半ぐらい家で熟成させていたことになりますね)、食べてみると・・・以前は特に種が多いとは思わなかったけど、改めて食べてみると種がしっかりした固さになっていて、まっさきに種が多いなぁと思うぐらい食感の印象が変化していました。前は感じなかったのですがストロベリートマトといわれるのも納得です。

 

トーフナビーかざ、熟れたほおずきの香りといっても、マンゴーの様な甘い香りからナッツのような香りまで幅広い香りを言い表すことができるというのは面白い発見でした。

 


最後は少し専門的な話です

泡盛マイスターの先輩Iさんがほおずきの香りについて書かれた論文をみせていただいたので簡単にポイントをご紹介させていただきます(Iさんは香りの専門家なのです)。 

  • ほおずきといっても、食用のしまほおずきと観賞用のほおずきの大きく2種類あること(今回のは食用のしまほおずきですね)。
  • 分析によると、しまほおずきは観賞用のほおずきに比べて香りの成分数が多い。ほおずきの37成分に対して、しまほおずきでは4倍以上の137成分が確認できた。
  • しまほおずきの香りを構成する成分は、ラクトン類が豊富でココナッツ様の香りの元になっている。
  • またエステル類が幅広く含まれていることで多様なフルーティな香りを感じることができる。

この分析結果を拝見すると奈良産のほおずきからはマンゴーの様な香り、一方で岩手産のほおずきからはココナッツ様の香りを感じることができたことも納得です。セゾンファクトリーのマンゴードリンクにココナッツミルクが入っているのもなんだか偶然とは思えない・・・

 

香気成分についての正確な知識があれば泡盛のテイスティングをするときに感覚的な表現に片寄ることなく、化学的にも的確な表現ができそうだなんてことを思いました。泡盛の古酒の香り、トーフナビーかざについて貴重な資料に触れることができました。ありがとうございました(^^)

文:泡盛マイスター伊藤 薫