忠孝蔵で手造り泡盛体験 俺の泡盛2011

7月に那覇バスの一押しツアー「泡盛島唄ライブコース」に参加して忠孝蔵を訪れた時に手にしたこちらのチラシ。

 

「自分で造った泡盛を飲みたい! あ・な・たへ 泡盛造り体験プラン」

 

なんと!!!忠孝酒造の手造り泡盛工場、忠孝蔵で泡盛造りが体験出来るという泡盛好きにはたまらない企画なんです。

 

これこそ俺の泡盛じゃないか!と興奮したものの次はいつ沖縄に来れるかわからんしとあきらめてしまうところでしたが・・・ 3ヶ月も経たない10月にまた沖縄に来ちゃいました。で、さっそく着替えました(笑)。 

このTシャツと手ぬぐいは参加費に含まれていて泡盛造りが終わるともらえます。清潔に作業するために着替えるわけですが忠孝オリジナルのTシャツと手ぬぐいなのでなんだか得した気分になります。

 

肝心の体験は、

  • 洗米
  • 米蒸し
  • 麹種つけ

という内容で自分で作った泡盛一升瓶が1本含まれて、なんと1人7,000円!

 

決して忠孝酒造のまわし者ではないのですが、安いと言い切ります!だって、Tシャツと手ぬぐいと泡盛一升瓶を買うだけで7,000円ぐらいになりそうですよね?さらに泡盛造りが体験できるなんて安すぎです。 

 

それなら沖縄旅行の空き時間に体験したいと思った方もいると思いますが、体験する時に気をつけなければいけないことがあります。

 

それは・・・

 

納豆を食べたり、納豆を調理したりしてから体験に望むのは、ダメ ゼッタイ!!

 

泡盛造りに使う黒麹菌より納豆菌のほうが強いので、麹がネバネバになってしまうそうです。担当の井上さんに教えていただきました。


いざ手造り泡盛体験のスタートです!

朝食は忘れずに納豆をパスしたので無事に体験をスタートすることができました。

 

まずは米を洗います。米の表面についているほこりを洗い流す感じで、ところどころに籾殻が混じっているので、味に影響が出ないようにしっかり取り除きます。浸漬というのは米の中まで柔らかくするために水を十分に吸わせること。そして、蒸す前に水を切ります。

 

と文章で書いてしまうと、夕飯に三合ぐらいのご飯を炊くような雰囲気ですが・・・使うのは30キロの米袋が2袋で計60キロのタイ米と格闘します。

押入れ収納ケースのような容器に30kgずつ米を入れて洗っていきます。

ガシガシと力を入れて洗うというより水を流しながら米を底の方から上にかき混ぜる感じ。大量の米を触っていると米ということを忘れて、子供の頃に砂場に水を入れて水と砂をかき混ぜて遊んだ思い出が蘇ります(^^) 

 

水を切るためにざるに移すのもバケツです。大事なお米をこぼさないように慎重に・・・

米を蒸す前までの「洗米」、「浸漬」、「水切り」が終われば次はいよいよ米蒸しです。

 

忠孝酒造さんのHPに書いてあるように、この体験のメインは「米蒸し」なのですが泡盛造りで米を蒸すのは何故か???気になって少し調べてみました。


なぜ米を蒸すのか?

泡盛造りの原理はデンプンを黒麹菌の働きでブドウ糖に変化させ(糖化)、そのブドウ糖を酵母によってアルコールにするのですが、米を蒸すのは白米に含まれるデンプンをアルファ化して麹の酵素で糖化しやすくするためなんですね。

 

米のアルファ化???なんだか聞いたことがあるような気が・・・

 

そうでした。六甲の登山のお昼にお世話になっているのが「アルファ米」でした!

 

アルファ米というのはお湯を入れて15分待つと、炊きたてご飯ができる魔法のお米です(水でもご飯ができますが水の場合は60分かかります)。

 

生米(生デンプン)を炊くことで、消化しやすいデンプンに変わります。いわゆるご飯のことですが、この状態を専門的には「アルファ化デンプン」というそう。この「アルファ化デンプン」は不安定な状態なので、そのまま放置しておくとまた生デンプンの状態に戻ってしまいますが、アルファ化したご飯を乾燥させ水分を取り除くと、生デンプンには戻らずに「アルファ化デンプン」の状態を保つことができます。

 

この「アルファ化デンプン」にお湯や水を加えると、炊かなくてもご飯ができるという仕組みなんですね。アルファ米については尾西食品さんのHPを参考にさせていただきました。ありがとうございました。

 

ちっとも知りませんでしたが泡盛造りもアルファ化のお世話になっているんですね。かなり脱線しましたが米蒸しの体験に戻ります。

 

米を蒸すのはこの甑(こしき)で。

ほとんどの酒造所では洗米・浸漬・水切り・蒸し・製麹(前半)までがドラムの中で連続的に行える回転式ドラムで蒸しているようですが手造りですからやっぱり旧式の甑なんですね。作業の最初に点火しておきました。

 

水が沸騰してきたので、水切りした米を入れていきます。 

米は60キロ分あるのでどんどん入れていきます。

最後はしゃもじで叩いてざるに付いた米もしっかり落とします。 

蒸し時間は何分ぐらいだったかなぁ?時計を外していたのでわかりませんが、いい感じに蒸しあがりました!

蒸しあがった米は麹種付けができるように、素手で触っても熱くないぐらいまで冷ましていきます。

 

まずは麹棚の準備です。通常は三角棚と呼ばれる麹棚で黒麹菌を増やしていくのですが、三角の屋根部分がないので単に麹棚と呼んだらいいんでしょうか。

蒸しあがった米は甑(こしき)から麹棚に移していきます。 

 

大量の蒸し米をスコップで甑から棚に移動させるのは、なんだか懐かしい感じ~。 

 

なんだろう??? 白い物体をスコップで移動させるこの懐かしい感じは・・・


まるで雪下ろし!?

雪の降らない都会の方にはイメージできないと思いますが、雪国の方にはなじみがあるあの雪下ろしです。山形を出て約20年。雪下ろしも20年振りですが、この感覚を体が覚えていました。

最後は力技で、どどどーと。

麹棚にファンが付いていて風が送られてくるので、まんべんなく風があたるようにかき混ぜながら冷ましていきます。

また、固まりになっている部分が無くなるように手で一つ一つほぐしていくのですが、蒸しあがりは米がとても熱いので耐熱の手袋を使います。

ある程度冷えてくれば素手でも触れるようになります。あとはしゃもじでまんべんなく風が当たるように混ぜながら冷ましていきます。

 

タイ米だからなのか蒸し加減によるのか、素手で触ってもべたつかず程よく弾力があって触り心地がいいんですよね。いつまでも触っていたいような感じで癖になります(笑)。


ラストはいよいよ麹種付け

蒸し米が十分に冷めたところで、いよいよ最後の工程、麹種付けです。

 

麹造り(製麹)は蒸し上がった米に黒麹菌(種麹)をふりかけて、黒麹菌を繁殖させて米麹を造ります。ほとんどの酒造所では洗米・浸漬・水切り・蒸し・製麹(前半)までがドラムの中で連続的に行える回転式ドラムで黒麹菌の種付けまでしているようですが、手造りですから麹種付けも手作業です。

 

井上さんが手に持っているのが種麹。

ぱっと見は黒ずんだ米なんですが、こうやって拡大して見ると米に黒い菌糸(胞子?)がびっしり生えています。

冷静に考えてみると、こんなにもカビが生えた米からできた液体を飲もうなんて、どういうきっかけでそんなことになってしまったのか想像もつきませんが、本当に最初に泡盛を造り出した人の勇気に感謝です(笑)!

 

麹棚をおおよそ6~8分割するように考えてその部分の中心にパラパラと種麹をふりかけては、全体になじませる感じで手で混ぜ合わせていきます。

麹棚全体に種麹が広がったところで麹種付けは終了。

 

そして、麹棚にセットしていた布で蒸し米を覆って体験は無事に終了です。

ここまで体験時間は2時間ぐらい。この後の麹造りからは時間が掛かるので残念ながら最後まで自分の手で造るというのは難しく、仕込み、蒸留等の作業は忠孝酒造の井上さんにお任せすることになります。そして、数ヵ月後には自分で造った泡盛が自宅に届くというわけです(^^)


手造り泡盛体験を終えて

こんなにも大量の米を触るのははじめての経験で、洗米時、蒸した後、種付けの時の米の手触りがそれぞれ違うのですがどれもいつまでも触っていたい感触でした。

 

体験できるのは泡盛造りの一部分ですが自分で造った泡盛が飲めるというのは、泡盛好きにはたまらないと思います。泡盛ファンに是非ともおススメしたい内容でした(^^♪。完成した泡盛が自宅に届くのが待ち遠しいですがやっぱり飲んでしまうのはもったいない気もしますね。 

体験日:2011年10月16日


待ちに待ったマイ泡盛が届きました!

待ちに待った例のモノが沖縄からはるばる海を越えてやって来ました!

 

そうです!10月16日に忠孝酒造で泡盛造りの体験をした時のマイ泡盛です。

体験費用の7,000円にはできた泡盛一升瓶1本分が含まれていたんですが、何故かこんなに大勢でやってきました。

何故かなんてとぼけてもしょうがありませんが・・・わが家の酒蔵には入りそうもありません(汗)。これでも少し前に1段から2段に増床したんですが・・・。

 

相方に気づかれる前に隠し蔵の場所を確保しないと(大汗)。

隠し場所を確保できたので(笑)、自分で造ったマイ泡盛をゆっくり飲めるようになりました。

 

自分で造ったといっても数時間の体験なので少々気後れしますが、それでも泡盛好きには堪らない手造り泡盛です。僕のような素人の体験泡盛が杜氏の長年の経験と技を注ぎ込んだ泡盛よりも優れた味わいになるはずはありませんが、自分で造ったという思い入れの分だけ僕には美味しく感じます。こういうのを親バカというんでしょうか?←違うか!

 

追加注文した一升瓶2本のうちの1本は「濾過をしないでもらえませんか?」と無理なお願いをしましたが忠孝酒造さんのご好意で特別に無濾過のまま瓶詰めしていただきました。どうもありがとうございました!

 

井上さんによると濾過をしない方が美味しいということではなく、どのぐらい濾過をするのかのバランスが大事なんだそうです。どの程度濾過をするのか、そのさじ加減も杜氏の腕の見せ所なんでしょうね。

 

それと濾過をしないと油臭がつくので古酒には向きませんというアドバイスをもらいましたので、濾過なしは早めに飲むことにしましょう。


記念すべきマイ泡盛の飲み比べ

さあ!濾過あり・濾過なしの飲み比べです。そもそも忠孝蔵の泡盛は風味をできるだけ残すために濾過を弱くしているようなので粘性が強めですが、濾過なしの方はとろりとしていてかなり粘性が強いです。

 

濾過ありの感想ですが、蒸したさつま芋のような甘くほっこりした香りがして、ふくよかな印象があります。味わいは水あめのようなとろりとした豊かな甘味を感じた後に、うりの漬け物の様な、しなやかな酸味と葉野菜の様な自然な苦みをバランス良く感じました。

 

これが濾過なしになると、蒸した芋ではなく焼き芋をイメージさせるような香ばしさを感じます。甘味は水あめではなく黒糖をイメージしました。苦味もスモーキーさが増しているような気がします。

 

この辺は好みの問題かと思いますが、僕は濾過なしの方が気に入りました。ただし僕は「天下一品のスープは濃度が高いほど美味しい!

」と思っているような所があるので軽く聞き流してくださいね。いろんな方の客観的な感想を聞いてみたいと思う今日この頃です。

 

最後に、濾過なしを入れたグラスを洗うときに今まで感じたことのない、ぬめりを感じたことを記しておきます。

文:泡盛マイスター伊藤 薫