甕仕込みといえば 石川酒造場

僕とスカイレンタカーのナビとの相性が悪いのか、レンタカーの旅ではナビに振り回されることがしばしば。

 

この日もきっちり住所で目的地設定していたのに、かなり離れた所で「目的地周辺です。運転疲れ様でした。」と勝手に案内を終了されてしまう。「ここから先は別料金ですねん」といわんばかりのナビに腹を立てながらもなんとか辿りつきました。

 

と、約束の時間に15分遅れたことをナビのせいにできたのかどうかはさておき、酒造所見学ツアー第4弾の2蔵目は㈱石川酒造場さんにお邪魔しました。

 

石川酒造場といえば避けては通れないのが「甕仕込み」。沖縄唯一の甕仕込みの蔵であるが故に、他の蔵ではお目にかかれないものがいっぱいありました。

 

手始めに製麹後の蒸し米を仕込み用の甕に移す(出麹)こちらの装置。

もろみの温度管理は仕込み用の一石甕のサイズに合わせたこちらのホース状の冷却管で行っているようです。大きなステンレスタンクで仕込む酒造所の螺旋状の冷却装置とはだいぶイメージが違いますね。

甕仕込みとは直接関係はありませんが、他の蔵では見慣れた三角棚が工場内に見当たりません。理由は石川酒造場では製麹まで回転式ドラムで行っているからで、温度計の位置は製麹時の温度管理ができるように配置されていました。

お邪魔した時には仕込み後3日目と2週間ぐらい経ったもろみがありました。3日目のもろみは甘味と酸味があるのですが、2週間ぐらいすると甘さはなくなり酸っぱさだけになるようです。

 

この酸っぱさこそが黒麹菌が作ったクエン酸にほかなりません。この酸は雑菌の繁殖を抑える効果があり、泡盛造りには酸を良く作る黒麹菌が使われているが故に気温の高い沖縄でももろみを腐らせることなく安心して泡盛造りができるというわけ。なるほどですね。

工場の2階には甕で熟成されている泡盛達がずらーっと並んでいました。

工場の一角には資料室があり昔の泡盛造りの道具が展示されてました。

 

真っ先に視界に飛び込んできたのがこちら(見学だけでなく、撮影もオーケーとはなんと太っ腹!)。風呂桶みたいですが、一部が木製の直火式蒸留機です。この蒸留機で蒸留したうりずんを是非飲んでみたいものです(^^)

こちらは旧式の製法で麹造りに使われていたニクブク(藁製のむしろ)。 

 

ニクブクといえば咲元酒造の佐久本政良氏が沖縄戦で壊滅した酒造所をまわり、焼け跡の土の中から奇跡的に焼け残ったニクブクを見つけて、そのニクブクに付着して生き延びた黒麹菌で泡盛造りを甦らせたというのは、泡盛ファンにはあまりにも有名な話ですよね。

こちらはその昔、泡盛の販売店まで泡盛を運ぶ時に使っていた容器なんだそう。渋い!

この木箱(?)は泡盛をしっかり管理するために、甕とか泡盛を保管していた容器の蓋を覆っていたものなんだそうです。勝手に泡盛を持ち出したりできないように針金か何かで縛っておき、その針金を切ることができるのはお役人だけだったというような話を伺ったような。間違っていたらごめんなさい。

最後は看板の前で。右手にある甕は二石甕、でかい^_^;

さすが!酒造所の看板、「酒」の文字が浮き出てきている!!

ということではなくて、なんのインク・塗料なのか酒造所の方もわからないらしいのですが、年月と共に看板が削れてしまっているのに、文字の部分だけが守られていて浮き出たように残っているみたいです。

 

石川酒造場では1度に1.3トンの原料米を使って20個の甕に仕込むようですが、仮に1つのステンレスタンクに仕込めばもろみの管理は1つで済むわけです。でも甕に仕込むということは甕の数だけもろみを管理しないといけないということです。そこだけを見ても手間暇を惜しまずに丁寧に造られた泡盛だといえるのではないでしょうか。

 

石川酒造場のSさん 丁寧に説明して頂きましてありがとうございました。

追記

泡盛マイスターの筆記試験に続き実技試験にも合格することができ、晴れて泡盛マイスターとなることができました。

 

本格焼酎と泡盛の日である11月1日に沖縄で開催された泡盛マイスター認証書授与式に参加することに絡めて、一気に6つの酒造所をまとめて見学した時の記事です。

 

大阪からわざわざ授与式に参加しなくてもいいんですが、単に授与式を口実に沖縄に行きたかっただけです(笑)。「沖縄に行く、イコール泡盛の酒造所を見学する」、これが定着したのはこの頃からですね。

 

酒造所見学は10回を超え泡盛造りの工程をイメージしながら見学できるようになっていたので、これは甕仕込み特有だろうなという視点で見学することができました。ちなみにこの日は1人でレンタカーで動いていたので残念ながら試飲はなしです。訪問日:2012年11月2日

文:泡盛マイスター伊藤 薫